「友達、と戦友の違い、分かる?」


それは沈黙に耐えかねた故の言葉だったのかもしれない。それでも確かに二人の間に落ちたしレイはそれを聞いた。レイにはシンがどういう返答を期待しているのか察することは出来ない。常ならばくるくると変わる表情や瞳に写る色からある程度読み取ることが可能なのに。今は彼の伸びた前髪が俯いた彼の顔を隠して邪魔をする。紅い瞳は今何を映しているのだろう。



「友人はそう簡単に居なくならない。戦友は、失う覚悟をしなければならない」



呪詛の言葉を吐き出すかのような重い声音だった。それに顔を上げたシンの表情が絶望に染まっているのを見てレイは酷い後悔に襲われる。何か言わなければ、そうして言葉を捜すレイをシンは強く抱きしめた。常の甘えるような抱擁ではなく何かにすがる様な腕にレイは戸惑いつつも抱き返す。そのまま仰向けにされてようやく彼の顔が確認できレイは少し安心して表情を緩めた。それに答えるようにシンもぎこちないながらも笑い返す。


じゃあずっと友達でいて?そう泣きそうに微笑んだ彼の顔をきっと一生忘れない。








END




【偽りはやさしさ】


2005.11.05-Copyright (C)Baby Crash