窓から入る日が眩しくてブラインドを下ろしたのは良いけれどドアの近くにある電気のスイッチを押すことを怠けたので部屋は薄暗い。気にしないように努めていたけれどさすがに手元の本の文字が読めなくなってきて、諦めて電気をつけようかと思っていると部屋のドアが開いて同時に視界が明るくなる。振り向けば呆れた顔のフレイが立っていた。その顔にまた電気もつけないで本を読んでいたことを咎められてしまうと思いキラは苦笑する。フレイの聞き分けのない子供をしかる母親のような口調をキラは密かに気に入っているのだけれど、やっぱり彼女に怒られるのは遠慮したい。フレイが何かを言う前にキラが先に困ったような表情を作った。


「ありがとう、読書に夢中になってたらいつの間にか暗くなってて」


ごめんね、としおらしい顔を作って上目遣いに見ればフレイは一つため息を吐いたが何も言わない。フレイはとても厳しいけれど同じくらいキラに甘い。その表情が自分をはぐらかすためのものだと分かっているのだけれど。いいわ、と一言言って彼女も表情を切り替えた。フレイだってキラの部屋に電気だけを付けに来たわけじゃないのだから。本題を切り出す。


「私これから出かけてくるから」
「うん。いってらっしゃい」


ベッドの上に座りなおしてフレイを見た。改めて見直すととても可愛らしい格好をしているのに気付く。あのスカートはキラが買い与えたものだ。どこに行くのだろうとも思ったけれど聞かない。お互い干渉しあわない生活を気に入っている。キラはフレイを愛しているしフレイだってキラを愛している。それだけ確かならあとは何をしていたっていい。同じ家に住んで食事をともに食べ眠る。お互いの帰ってくる場所が同じでそこに相手が居てくれる。それ以上は望んでいない。幸せだと思う。


「気をつけてね、帰る前に教えてくれれば夕食を作って待ってるけど」
「わかったわ。それと、悪いんだけど…」


言いよどんでフレイが視線をはずした。チラと見た先にはキッチンがある。


「いいよ、食器はボクが洗っておく」


フレイの言わんとするところを察して言えば彼女は嬉しそうに微笑んだ。ありがとうと感謝を告げる。それに笑みを返しながら立ち上がってフレイに次いで部屋をでた。彼女を玄関まで送って洗い物をしてから買い物に行こうと思う。夕飯は何が良いだろう。




16:03

END



第一弾。テーマがフレイのヒモのようなキラでした。
ポルノの「we love us」のイメージ。
a couple of ...


2005.07.10-Copyright (C)Baby Crash