「太陽と月が堕ちても二人が生きていたら逃げ出そうか」




そんな奇跡が起こったら。
世界が壊れていく中で、助かったら。二人なら生きていける。太陽が全てを壊してくれるなら、この手がこれ以上血濡れになる事は無い。モビルスーツに乗っているからこそ自分たちの手が汚れはしないが、本当は真っ赤に染まっていることぐらい知っている。
それを止めてくれる奇跡が。




「…起こればいいな」
「馬鹿なことだ」
「起これば良いのに…」


だんだんと弱くなっていくアスランの声にイザークは顔をゆがめた。そうでもしないと自分まで泣いてしまいそうだ。




そんな奇跡が起こればいいという微かな希望と。起こるわけが無いという強い確信の間で差し出された手を取る。


赤く濡れる事も出来なかった手は純粋なまでに暖かくてまた泣きそうになった。












22:29

END



アスイザ。初めて人を殺した日。
【12:月と太陽が堕ちても】


2004.10.16-Copyright (C)Baby Crash