交代の時間までは、まだ遠い。
過酷な実習訓練の中、少ない休憩時間を睡眠に当てている兵は多く広いホールには士官学校の制服を身にまとった生徒が大勢横になっている。
ニコルはその中でも比較的人の疎らな場所の壁に寄りかかっていた。
辺りを見渡し直ぐにニコルは目線を横に落す。
前に見た時とあまり変わらない体制で彼が眠っている。その顔は起きているときとは比べ物にならないくらい穏やかで。




(眠らなくちゃいけないのに…)


なんで起きてるんだろう。
はあ、と零れたのはため息。それはそんなに重いものではなかったけれど。


目が覚めてしまって横を向いたら彼がいて。
銀の髪は赤い制服をつけた腕に散らばってとても綺麗で、蒼い瞳が閉じられているのは残念だけれども気難しい彼の顔をこんなに近くで眺められただけでも幸せで。
眠るなんて勿体無くなってしまった。


大勢いる生徒の中で起きている人間はニコル一人だけ。
今だけは独り占めしてる気分でそっと彼の銀糸をさらった。




休憩時間が終わって彼が起きたら誰より先にお早うと言おうと決めて窓の外を見る。
静かに流れる星になんだか笑われた気分になったのはきっと気のせいだ。












18:55

END



ニコイザ。寝てるのはイザーク。
士官学校時代の演習とか。
【05:眠りの森】


2004.10.18-Copyright (C)Baby Crash