アスラン。僕らの再会に何一つとして嬉しいことなんて無いんだよ。





















嬉しいとか楽しいとか。そんな明るい感情なんて何一つとして必要じゃないじゃないと気が付いたのは最近だった。こんな暗い世界でそんなものを持っていても傷ついてなくしてしまうだけ。
ならばいっそ最初から。


どうして一年前。それに気付けなかったのか不思議でしょうがない。
気付いていれば何かが違った。少なくともあんな無様に涙することなどなかった。


今の自分ならばもっと上手くやれた。


そんな確信に近い自信がある。
誰かが死ぬことなどたいした問題ではない。一番大事なのは自分が傷つかないこと。壊れた心は戻らない。誰かの死に涙したってそれはいつか忘れてしまう。その証に今の自分は死者の為に泣くことをしなくなった。








「…キ、ラ」




ああ。変わらないなあアスランは。


驚いて見開かれた緑の目。状況も場所も何もかもがあのころと違うのに、いつも何時までもその色だけは変わらない。
それに少しだけ案著している自分に吐き気がする。




「やあアスラン、カガリも」




にこり、と笑いを模って口の端を持ち上げる。嘘をついて笑うことにはもうすっかり慣れてしまった。


今の自分の気持ちを知ったら優しい彼は怒るだろうか。哂うだろうか。それとも哀しむだろうか。そんなことすらわからないほど彼との距離は離れてしまった。






それだけのことが今の世界では少し、哀しい。












END



5:28

デス種でキラがラスボスだったらという設定の下で。フライングパラレル。すれたキラが大好物です。

【04:廃墟の祈り】


2004.10.11-Copyright (C)Baby Crash