並んで歩いていて隣に揺れる彼の手を、握りたいと思う。思うけれど周りの目を気にして我慢。(いい年した男2人が手繋いでたらきもちわるいでしょう!)我慢しているけれどやっぱり触れたい。好きな人が隣に居るのだから当たり前。「手を繋ぎたい」言えばレイはきっと受け入れてくれるのだろうけれど俺はその一歩が踏み出せない。肝心なところで勇気が出せない自分が情けない。どんどん気持ちが沈んでいって自分にはレイを好きで居る資格なんて無いんじゃないかとすら思い始める。黙り込んでしまった俺にレイが心配して声を掛けてくれるけれどオレの声音は重いし暗い。なんなんだよー好きな子に対してこの態度って最悪じゃん。また自己嫌悪の渦に入り込む寸前、レイが動いて俺の手を取った。


「?!……え、え?な何?」
「…お前が何を不安になっているか知らないが、大丈夫だ」


取った手を胸まで持ち上げて、祈るように、けれど確かな声で言い切った。触れ合った手が暖かくて気恥ずかしくなる。そうしていると考え込んでいたのが馬鹿らしくなって俺は取られた手を握り返す。合わさった掌と指から、とくんとくん、血の巡る音すら聞こえてくるような気がした。それに安心して、どちらともなく笑い合う。許されるならどうかこのまま。








END




【08:繋がれた手】


2005.06.12-Copyright (C)Baby Crash