ルナが持っていた少女漫画に描かれていた有り勝ちなストーリーを鼻で笑ったら鉄拳制裁を喰らった。アレは無い。反則。女の力じゃない。というか思ったことを言って何が悪い。「言論の自由!」抗議の声を上げればまだ興奮気味のルナが「シンなんかにこの運命の恋愛ストーリーは解んないわよ!」と怒鳴る。運命ねぇ。あんな在り来たりな展開が運命なんて俺は嫌だな。思ってたら顔に出てたらしくてまた殴られた。これ以上ココにいたら身がもたない。戦場に出る前に死んでしまう。危険を感じたので次の拳が振るわれる前に自分の部屋へ戻る。廊下を進んでいる間にも殴られたところはずきずき痛んで仕方ない。ルナはあの漫画に恋をしている。無抵抗の人間をここまで痛めつけられるんだから恋は恐ろしい。傷害罪だ…。力なく呟いたら倒れそうになる。打ったところが悪かったのかもしれない。本当に視界が揺らいで床にキスする寸前、覚悟した衝撃と痛みは無くて代わりに暖かい腕に抱きとめられた。
「戻ってこないから心配していたら…。いったい何があったんだ?この怪我はいったい…」
珍しく困惑気味なレイを安心させるために微笑んでもう一度レイの腕の中に顔を埋める。ほんとナイスタイミング。ルナの漫画なんか目じゃない。俺はこれこそ運命だと思うんだけど。
END
【04:これが運命!?】
2005.07.04-Copyright (C)Baby Crash