10ただ愛しくてそれだけで


たまたま覗いた生徒会室で机に突っ伏して居眠りをするルルーシュの姿を見つけてその珍しさに思わず近くでまじまじと見つめてしまう。彼のことを居眠りの達人とリヴァルが称するくらい彼は頻繁に居眠りをしているけれどこんな本格的に寝入ってしまった姿は初めて見た。意志の強さを感じさせる瞳が閉じられているだけで受ける印象はだいぶ違う。スザクは凛とした紫も綺麗で大好きだけれど、それが隠れた寝顔は幼いころの幸せな時間の記憶を呼び起した。
二人で畳の上で横になってじゃれ合うのがお気に入りで、そしてそのまま寝入ってしまって掛け布団を掛けてもらうのが好きだった。一人だけ先に目が覚めたとき横にルルーシュがいることに安心してそっとキスをしたなんてスザクの一生の秘密だ。蝉の声がやけに五月蝿くて心臓がドキドキした。今はもうあのころの思い出しか残っていないけれど。
今思わずそっと触れてしまった気持ちはあのころと何も変わらない大事なものなんだとスザクは胸を張っていえる。