02勝率99%


(いいやそれでは駄目なんだ!その残り一パーセント、その恐ろしさを甘く見るほど愚かには生きていけない)


彼のその慎重さは確かに生きるうえで必要なものだったし誇っていい優秀さでもあった。しかしその反面、思慮は彼を愚鈍にしそれは彼の弱さにもなった。事実今彼は不確かなそれに感情を乱され目の前のあからさまな答えが見えなくなっている。ありのままの感情を吐露してもそれを受け入れ微笑む幼馴染の姿を想像することは容易いというのに。悲しむべきはそれを是とすることができない彼の生い立ちか。一パーセント、それを乗り越えるための勇気を彼は持ち得ない。


可哀想に、彼は他でもない自分自身を信じることができないのだ。