01愛情表現皆無


こちらがどんなに友好的に接しようとしても応じようとせず、それどころか伸ばした手に噛み付いてくる始末。じゃれている、そう言えば聞こえはいいんだろうけれど目の前で他の人間にゴロゴロと懐く様子を見せられたらそんな考えも打ち砕かれるというものだ。
「何でこんなに好かれないのかわかんないんだけど!」
何だかもう怒りを通り越して情けなくなってくる。想いが報われない悲しさに項垂れればその原因である猫を膝に乗せた幼馴染が苦笑した気配。


「君はいいよね懐かれちゃってさ、」


ついつい羨んで拗ねるように言えば彼は何を言っているんだか、と呆れた風に笑う。


「じゃあお前には俺が懐いてやろう」
「へ?」


言葉の意味を理解するより先に温もりを知覚して彼が抱きついていることを知る。猫の代わりにでもなろうというのか常にないほど密着し、頬を摺り寄せるようにして甘えてみせるその様子はスザクを動揺させるには十分すぎるほどで!


「ルルル、ルルーシュ?!!」
「どうだ?これでも猫のほうがいいのか?」


まさか!とんでもない!声すらマトモに上げることができず首を必死で横に振る。真っ赤になっている自分に肩越しで見えない筈の彼が満足そうに微笑むのが分かった気がした。