スザクにとって大切なものは一つだけでそれは全ての行動基準となって自分を生かす。ルルーシュ。揺るぐことなどない自分の絶対の真理であり世界の全て。どうか彼に惜しみない幸福を。彼とその妹が望む世界はきっと僕が作ってみせる。彼らが悲しまなくて言い世界をきっと。だから。だから


(僕の世界にはゼロが邪魔です)




あの仮面のテロリスト。命を救われたことに感謝をしたこともあったけれどもゼロはルルーシュの世界へ踏み込んでしまった。シャーリーの父親を殺して彼の世界を形作る一つを少し歪めてしまった。それは十分排除すべき理由になる。彼を悲しませるものなんて一つ残らず消えてしまえ。弱者の味方、そんな事を言っても結局お前だって踏み潰すんじゃないか。嘘つき。僕はお前が殺した人たちの死体を掘り起こしたぞ。ゼロ、この死んでいった、お前に殺された人たちはお前が救うと豪語した弱者、ではないのか?
ゼロはこの程度だったのか。お前だったら彼の言う優しい世界を創り上げることができるかもしれないと期待したのに、憎悪の中に拭い去れない失望があった。
やっぱりこのやり方は違うんだゼロ。こんなあからさまな犠牲はいらない。同じ量の犠牲を生むとしてももっと反発を抑えることのできるやり方があったはずだ。賢いゼロがそれに気づかないわけがない。それでも彼は結果を重視し行動に移した。功を急いではいけないよ。
スザクははもっと静かに少しずつ変えていかなければならないのだ。血塗れた手を隠すことができるほど緩やかに。彼のための優しい世界は誰も文句の言えないような正しいやり方で手に入れないといけないから。


そのためにはゼロのやり方は大雑把過ぎて好ましくない。彼ならもっと上手くやれる方法だってできるはずだろうに。何をそんなに急いでいるんだ。焦るのは勝手だけれどそれで彼の世界にまで踏み込んでこないでくれと思う。(これ以上彼から何も奪ってくれるな!)スザクの頭の中にはいつだってたった一人の幸福のことしか浮かんでいない。彼の世界さえ壊れなければそれで良いから彼の世界に係わらない人間は簡単にその他大勢の中に埋もれてゆく。そしてその血が流れたってスザクの心は欠片も痛みはしない。だってルルーシュが悲しい顔をしないのだ。どうして心を痛める必要がある?
僕は彼が望むから世界を壊し、彼があの皇帝を憎む。これ以上分かりやすい物があるだろうか。それなのに、ルルーシュ。


どうして君がそんな悲しそうな顔を、するの?










世界にが開いている。