明け方まで延々と実験に付き合わされたお陰で仮眠は数時間しか取れなかったが、それでもスザクは学校へ向かう支度をする。遅れていってもいいんじゃない?と技術部で、いや軍で唯一純粋にスザクを心配してくれているだろうセシルが気遣ってくれるが、スザクはそれに首を振る。だって学校には彼が居るのだ!こんな所で寝ている場合なんかじゃない。夜中に呼び出された時点でこうなることはある程度予想できていたので教科書やペンを入れたカバンはもう用意してある。仮眠室の硬いベッドのせいでバキバキと不穏な音を立てる体をごまかしつつ制服に着替えて時間を確認してホッとした。学校に朝から行けるだなんてどれだけぶりだろう。幼馴染と過ごせる時間を幸せと感じ、多少なりとも浮かれていたことを僕は認める。認めるけど(けれどそれを誰が責められようか!)
「……どうして付いてくるんですか?」「んん?きーにしないでぇ?」


無理だ!数歩後ろから自分に付いて来るロイドに心の中で叫ぶ。最初は気のせいだと思っていたのだけれど、もう学園の校門まで来てしまっている現実は無視できない。え、この人学園に用があるの?そんなわけない。この人の行動の大半は大好きなランスロット絡みなのだから(恐ろしいが事実だ)こんなランスロットのラの字も無いような平和な学園に彼がやってくる理由が無い。無いはずなのにこの状況はなんだ。考えるのも嫌だ。もうこのまま教室に入ってしまいたい。何も気づかなかった振りをして何食わぬ顔でルルーシュの隣に座って笑顔でおはようを彼に言いたい。彼が同じように挨拶を返してくれたらもうそれだけで今日学校に来た意味があるっていうのに!背後に感じる彼の気配がそれを許さない。残念ながらスザクはこんな危険なものを放って己の幸せに走れる精神の持ち主ではなかった。
「ロイドさん、来賓はまず事務室へどうぞ!」その言葉を聞いたとたんまるでクラッカーのように弾けるように笑い出すロイドに集まる視線がいたたまれない。何がそんなに面白いんだ。此処はあんたの変人っぷりを理解、許容している技術部じゃないんですよ。だいたい貴方白衣のままってどういうことですか。これじゃきちんと断って抜けてきたのかすら怪しい。それでは真面目に働いている彼女が可哀想だ。正直者が馬鹿を見る世界なんて滅びれば良い。なんだか朝からとっても疲れた。朝日が目に痛いくらい眩しい(この人が此処に居ること意外は!)(まったく申し分の無い!)爽やかな朝なのに何が悲しくてこんな!(ああルルーシュに逢いたい!!)


















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