たぶん最終回付近のこうだったらって言うありえない妄想。
ゼロさまルルーシュとランスロットスザク対面で最終決戦前のディスカス。
スザクはルルーシュ意外わりとどうでもいいと思ってる。(黒い)

踏まえて大丈夫そうならどうぞ↓
























「だから、俺が世界を変えなければならないんだっ!」


久しぶりに聞けた彼の声はあまりにも悲痛な叫びだった。
幼い頃一度だけ聞いたあの決意よりももっと悲惨な様子を感じさせるそれは彼が疲れきり世界に絶望してしまったことを僕に知らせる。
(どうして君がそこまで傷つかなくてはいけないの)(なんで)


こうなる前にどうしてもっと早く僕が気づけなかったのか。後悔ばかりの思いは僕の口から意識して作られた声音にのせて君へ届く。




「まだそんな事言ってるの?」




思っていたよりも冷たい声が出たのに少し自分でも驚いたけれど今更後には引けなかった。自分が今、酷く嫌な笑い方をしているのが分かる。そんな僕を彼が信じられないというように見ているのが辛い。考えをこんな根本から否定されることなど予想していなかったのだろう。彼の顔は驚きと戸惑いに満ちていて、まるで考えてくることが伝わってくるようだ。
本当はこんな暗い部分、知ってなんか欲しくなかった。君の中の僕は七年前の幼い無邪気なままなんだろう。けどね、ルルーシュ。世界は変わり、僕らも変わった。そのなかであのときから何も変わらないキミの中の祖国への呪いはある種とても尊ぶべきものだけれど。


「もう諦めようよルルーシュ」


その言葉にまた彼の表情が悲しそうに歪む。ああ僕はこの表情を知っている。(泣き出す、少し前のカオだ)あの日、ブリタニアが焼き払った町を目の当たりにした幼い彼も同じ表情をしていた。意志の強い眉を寄せ、口を引き結び、感情の波に耐える表情。あの時は結局彼の涙を見ることは叶わなかったのだけれど、今日はそういうわけには行かない。もう僕の前で虚勢なんて張らせてあげない。


(君の考えを、僕に否定されて、悲しいと思うのなら)


全部見せてよ。伸ばした手に彼はびくりと身を竦ませたけれど決定的な拒絶はなかった。それがまた僕を助長させ、許されていると自惚れさせるのだ。
けれどきっと僕自身も彼と同じように、いいや、それ以上に彼を許している。僕は彼に何度手ひどく裏切られようと、もし今彼が僕を殴って身を翻そうと決して怒ることはない。ただ少し悲しいとは感じるけれど。


「ねぇ、ルルーシュ」


優しく、出来るだけ脅えさせないようにいつもの様な柔らかい表情で顔を覗き込めば、それに安心したのかルルーシュの体から少しだけ力が抜ける。(本当に素直で疑うことをしないのだ。さっきまで自分を手ひどく言葉で詰った人間に、こんな風に安心するなんて!)それがまるで母親を見つけた迷子のようで、やっぱりさっきの自分は少し怖くなりすぎていたかなと心の中で自嘲する。(君の中で僕がどんな人間なのかなんてよく心得ているよ)そのままゆっくりと彼に触れれば、もう何も怯えられるような事はなく、ルルーシュはただスザクの次の言葉を待っている。その表情はやはり依然として硬いままだったけれど、そこに警戒の色はなく、相手が自分を傷つけることなどないと無意識の内に信じ込んでいるような色があった。
そうだよ。それで正しいんだ、ルルーシュ。望み通り、僕は言葉紡ぐ。


「僕はルルーシュを裏切らない。君を悲しませたくない。幸せになって欲しいと思ってる。」


だから駄目なんだ。君が表舞台に立ってしまっては。戦場のどこかに君が居るなんて考えるだけで僕の思考はまともな機能を失ってしまう。君のそばに居ればその時だけ君を守ることは出来るだろう。けれどもそれじゃあ堂々巡りのイタチゴッコだ。君に気を取られていたんじゃ敵の頭を叩くのが遅くなってしまう。それに少しだって君に危ないことなんてさせたくはないんだよ。だから。


「ルルーシュを僕に守らせて?全部僕に任せて?」


君のそばに居たい。偽りのない心からの真摯な声でそれを訴えればルルーシュは目に見えて動揺の色を浮かべる。犬だと思っていたものが狼だった、そんな例えが似合うような驚きだろう。それでもその動揺のなかに隠し切れない喜びを感じ取ってしまい、我慢できずに抱きしめてしまった。拒絶は、ない。代わりにおずおずと戸惑いがちに背中に回された彼の腕と、


「本当、に…?」


今までずっと一人きりで闘い続けて傷だらけになってしまった彼の弱弱しい問いが愛しくて、スザクはもう一度抱きしめる腕に力を込めた。(もう誰にだって触らせない)













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